腸内環境を整える方法【前編】
「腸内環境を整える」というワードはよく聞きますが、腸を整えることで、私たちの体にどんな効果があるのでしょうか?
腸内環境を整えることの重要性、メリットや得られる効果をお伝えします。
中盤にセルフチェックもご用意したので、ぜひ、あなたの腸内環境をチェックしてみてくださいね。
① 腸内環境を整えることが大事な理由3つ
①-1 健康的な食事をしても、腸が整っていないと意味がない
あなたは「食べたものが体をつくる」と思いますか?そう思っている方は、このタイトルに疑問を持っていると思います。
「健康的な食事をすることで、腸が整うんじゃないの?」と。
「食べたものが体をつくる」。これは間違いではないですが、少し惜しいです。
正解は「食べて消化吸収されたものが、体をつくる」です。
食べ物は口→胃→小腸→大腸→の道順で最後は体外に排出されます。
これら口~大腸の消化管を、体を貫く1本の管と考えてみましょう。
食べ物が口に入り、消化管を移動しているだけでは、食べ物はまだ体の中ではなく、体の外にあると考えられますね。
口や胃では、食べ物を細かく砕いて消化はしてくれますが、まだ吸収はしていません。
食べたものが細かい栄養素になり体内に吸収されるのは、小腸の腸内粘膜に存在する絨毛という小さい突起を通して、血液中に運ばれたときです。ここで初めて、食べ物が体内に入った、つまり吸収されたといえます。
小腸の絨毛から血液中に吸収された栄養素は、全身の細胞に取り込まれて、初めて私たちの体になります。
腸が整っていないと、体にいいものを食べてもうまく吸収できず、食事の効果が半減します。また、菌などの体に有害なものもブロックできなくなってしまいます。
①-2 腸の状態が心と体全体に影響する
脳はあらゆる内臓に指令を出し、腸もその指令を受けます。しかし腸は脳からの指令を一方的にうけるのではなく、腸からも脳に情報を送ることができ、互いに情報が行き来します。腸からの情報を受け取った脳は、ほかの臓器にも情報を伝えられるため、腸の状態は全身に影響を及ぼすことになります。
緊張するとおなかが痛くなった経験をした方は多いと思います。また、うつやイライラなどの心の不調を抱える方が実は便秘が多いというデータもあります。これらはすべて、脳の状態が腸に影響し、腸の状態が脳から全身に影響する、ということです。
①-3 30代以降は腸内環境が悪化しやすい
最近はテレワークの普及により、出社せず自宅で働くスタイルが多くなりました。移動することなく、運動不足という方が多いのではないでしょうか。同じ姿勢で座りっぱなしだと、腸内の増えすぎた細菌を殺菌する胆汁の流れが悪くなり、腸内環境が悪化します。
また、男性は30代、女性は40代以降で自律神経が乱れる、特に交感神経ばかりが働き、副交感神経の働きが弱くなるというデータもあります。副交感神経の働きが弱くなると、腸の活動も低下してしまいます。
※自律神経…交感神経と副交感神経の2種類ある。
体内で、時間帯や状況によってどちらかが優位になりバランスをとっている。
交感神経・・・体をアクティブにする(昼間や活動時に優位になる。興奮、集中、緊張、食欲低下など)
副交感神経・・・体がリラックスする(夜間や休息時に優位になる。休憩、入浴、睡眠、食事など)
②腸を整えると得られる嬉しい効果4つ
②-1 便通改善、最も身近なデトックス
腸内環境が整う=腸内細菌の種類や数が増え、腸内フローラのバランスが改善することです。
そうすることで体にとって不要なものが便となり、便通改善に効果があります。
②-2 ダイエットが成功する
腸内細菌に偏りがなくなることで、痩せやすくなる菌も増えます。
また、便通改善することで、不要なものが排出され、結果的にダイエットが成功しやすくなります。
②-3 イライラや不安が改善
脳と腸はつながっているため、腸の状態が良いと、脳にもその良い影響が出るのでイライラや不安感の改善に効果があります。
②-4 免疫力UP
腸内には体内の免疫細胞の70%以上が存在しています。腸内は栄養が最初に吸収される場所であるため、有害なものは吸収しないよう免疫細胞が戦ってくれる場所でもあります。腸を整えることで、免疫力の向上につながります。
③やってみよう!自分の腸内環境をセルフチェック
- よく便秘や下痢になる
- おならやゲップが臭い
- 味噌や納豆、ヨーグルトなどの発酵食品をあまり摂らない
- 野菜、海藻、きのこをあまり食べない
- 20代のころから10kg以上太った
- 風邪をひきやすい
- アレルギー体質である
- イライラや不安感が強い
- 実年齢よりも老けて見られることが多い
- 最近運動不足である
2つ以上該当する場合は腸内環境が乱れている可能性があります。
このあと紹介する、腸内環境の整え方を参考にしてみてくださいね。
④腸を整える4つのポイント
④-1 食生活
- ・発酵食品をとる(味噌、漬物、ヨーグルト、キムチ、納豆、甘酒など)
発酵食品には乳酸菌が多く含まれており、毎日食べることで、腸内に乳酸菌が定着しやすくなります。 - 食物繊維をとる(野菜、海藻、きのこ、玄米やもち麦などの未精製の穀物、ナッツ類、イモ類)
食物繊維は腸内細菌のエサとなり、腸内細菌を育て増やしてくれるので、腸内フローラのバランスが整います。 - 糖質は適量にする
糖質は体内で炎症を起こしやすいため、適量にしましょう。
間食や嗜好飲料、普段の主食の量が多いと、腸内細菌が大量のガスを発生させ、膨満感やげっぷ、おならの症状がでます - 良質な脂質をとる
青魚や亜麻仁油などに多く含まれるオメガ3脂肪酸などの良質な脂質をとりましょう。
腸の炎症を抑え、癒す効果があります。揚げ物やスナック菓子などの脂は控えましょう。
④-2 口腔環境
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・歯磨きで口腔内を生活に保つ
口~腸~肛門まで1本の管でつながっているのは先ほどご説明しました。口の中は虫歯菌、歯周病菌など様々な菌が在住しています。ヒトは1日1.0~1.5L程度の唾液を飲み込むといわれており、それらは腸を通ります。毎日の歯磨きの習慣で、口の中を生活に保ちましょう。 -
朝起きたら、まずはうがいや歯磨きをしてから食事や飲み物をとる
朝の歯磨きのタイミングは人によって様々かと思いますが、腸内環境を整える視点から見ると、菌を飲み込まないよう、食事や飲み物をとる前にうがいや歯磨きをするのがおすすめです。
④-3 運動
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・軽い有酸素運動を行う
ウォーキングやランニング、サイクリングなどの軽い有酸素運動を行うことで体にいい働きをする腸内細菌が増えることがわかっています。また、ずっと座りっぱなしだと胆汁の流れが悪くなり腸内細菌が悪化するので、それを予防する点でもこまめに体を動かすようにしましょう。
④-4 ストレス対策
運動のような一時的な体へのストレスは腸内環境を整え、気持ちのリフレッシュ効果もありますが、
精神的なストレスは、脳から腸へ、腸から全身へと伝わり、心身の不調を生みます。
その過程で腸内の血流量が低下し、腸内環境も悪化してしまいます。
頑張りすぎず、趣味や瞑想、軽い運動などでストレスをためすぎないことも大事にしてください。
できることから少しずつ始めてみてくださいね。