【免疫力を高める】仕組みと効果的な食材
こんにちは、MEP南青山 健診センターの管理栄養士です。
ここ1~2年で、感染症対策がみなさんの日常で当たり前になっているかと思います。
除菌アルコールの設置や、マスクをつけたり、人込みを避けるような生活が
今では当たり前になっているかと思います。
当院で栄養指導をしていると、みなさん感染症対策をしっかり行い、
気を付けて生活していらっしゃるのがわかります。
ですが一方で、感染のリスクを気にするあまり、通っていたジムをやめた、
なるべく外出を控える、という話をよく聞くようになりました。
感染しないために気を付けることは大切ですが、
私たちの体には、免疫機能が備わっているので、それをしっかり働かせることも大事なのではないでしょうか。
今回は免疫の仕組み、免疫力UPに効く食材、それ以外の生活習慣をご紹介します。
① 体内の免疫の仕組み、免疫機能とは
体内での免疫システムは、おもに2種類あります。
①自然免疫
②獲得免疫
この2つです。
(1)自然免疫
体内にもともと備わっている免疫で、ウイルスや細菌が侵入してくると抗体を作って対応します。
血液中の白血球がそれにあたり、血液中にウイルスが侵入してくると他の細胞に情報を伝えたり、ウイルスを攻撃したり、食べて消化してくれるような働きがあります。
(2)獲得免疫
一度、あるウイルスや細菌に感染すると、そのウイルスや細菌の特徴を記憶して、次に侵入したときに攻撃できるよう備えます。
ワクチンはこの獲得免疫の働きを利用したもので、弱毒化、あるいは無毒化された抗原をワクチンという形で体内に投与することで、体内で獲得免疫を発生させます。
その後、本当のウイルスに感染しても、獲得免疫が働き、発症させない、あるいは発症しても重症化しないよう、ウイルスを攻撃してくれるというものです。
② 体内のどこで免疫力が発揮されるのか
(1)小腸
ウイルスや細胞はどこから入ってくるのでしょうか?
風邪のウイルスで考えてみると、空気感染、飛沫感染、経口感染があります。
これらはすべて、最終的には口や鼻からウイルスが体内に侵入して、胃腸を通り、小腸から体内(血管)に吸収されていくので、食物と同じルートをたどることになります。
つまり、消化管から体内に入る最初の場所は小腸になります。
小腸には免疫細胞が多く存在し、体内の約70%を占めるといわれています。
そのため、腸内環境を良くしておくことは、私たちの免疫力UPにもつながります。
(2)血液中
小腸から吸収されたあとは、血液中に吸収され、初めて体内に侵入してきます。
前述のとおり、自然免疫のひとつに、血液中の白血球があります。
血中の白血球は、血流にのって全身をパトロールしながら免疫機能を働かせてくれているので
血管がしなやかで、血液の巡りをよくしておくことも大事なことであるといえます。
③ 免疫力を高める食材
さきほど、小腸と血液中で免疫細胞が活動しているとお話しました。
つまり小腸と血管の状態をよくしておくことが、免疫力UPに役立ちます。
ここでは、小腸と血管の状態をよくする食材、その食べ方をお伝えします。
(1)腸内環境を整える食材
野菜類、海藻類、果物、イモ類、根菜類、未精製の穀物、豆類、きのこ類、漬物、キムチ、納豆やヨーグルトなどの発酵食品
※別コラム「腸内環境を整える方法【後編】実践編」でも詳細をご紹介していますので、ご参照ください。
(2)体を温める食材
血流をよくするためにも、体を温める食材を積極的にとりましょう。
牛肉赤身、ラム肉、しょうが、大根、にんじん、長ネギ、にんにく、にらなど
鉄分の多い赤身の肉や魚、発汗を促すスパイス類など
(3)エネルギー代謝を促す組み合わせ
私たちは食べたものを代謝して、エネルギーに変換することで熱を生み出しています。
エネルギー源となる糖質と、代謝を促すビタミンB群の組み合わせにより、
エネルギー代謝を促進し、免疫力を高める効果が期待できます。
<糖質>
ごはん、イモ類、麺類、パン、玄米(玄米はビタミンB群)
ビタミンB群…豚肩ロース、たらこ、うなぎ、レバー、納豆、卵
(4)粘膜を強化する食材
ウイルスは鼻や口の粘膜に付着し、そこから体内に入ってきます。
つまり、粘膜は細菌やウイルスの侵入を防ぐための第一関門となります。
皮膚や粘膜の材料となるたんぱく質と併せて、皮膚の健康を保つ働きのあるビタミンA、C、植物の色素成分でビタミンAの前駆体となるβカロテンの摂取がおすすめです。
<たんぱく質を多く含む食材>
肉、魚、卵、大豆など
<ビタミンAを多く含む食材>
レバー、うなぎ、にんじんなど
<ビタミンCを多く含む食材>
パプリカ、キャベツ、みかんなど
<βカロテンを多く含む食材>
にんじん、かぼちゃ、しそなど
④ \食事以外/免疫力UPの生活習慣3つ
食事以外にもストレスをためないこと、生活習慣を整えて、疲れをとることが大事です。
(1)湯船に浸かる
湯船に浸かって体温があがると、免疫機能をつかさどる白血球が活発になり、免疫力が高まります。
さらにリラックス効果によって白血球の働きを妨げるストレスホルモン、コルチゾールの分泌も抑えられます。
シャワーではなく、38~40℃のお湯にゆっくり浸かるのがよいでしょう。
(2)適度な運動
白血球はストレスによって活動が低下します。
本来、人間は活発に動く生き物なので、まったく運動習慣がない人は知らず知らずのうちにストレスを蓄積し、免疫力を下げてしまいます。
週に2~3回、30分程度の運動習慣があればよいですが、1日10分程度の散歩や体操でも十分効果があります。
激しいトレーニングやスポーツのしすぎも逆にストレスになるので、ウォーキングなど負荷の軽めの運動をするのがおすすめです。
(3)十分な睡眠
毎日十分な睡眠がとれていると、疲労がたまりにくく、体の調子が整います。
また、日中の活動時は仕事や勉強などで交感神経が活発になっていますが睡眠中は副交感神経が働き、リラックスしている状態です。
副交感神経が働くと、免疫機能が高まることが分かっているので寝不足にならないようにすることで、免疫機能を正常にすることができます。
最後に
いかがでしょうか。
人込みを避ける生活も十分効果がありますが生活している以上、空気中の細菌やウイルスを0にすることはできません。
自分の体に本来備わっている免疫機能を十分に働かせ、仮にウイルスが体の中に入ってきても、免疫機能が働き、消化し、発症させないように体を整えておくことも大切です。
そのためには、今回ご紹介したような、食事、睡眠、運動、生活習慣の見直しをしてみてくださいね。