脂肪肝ってどんな状態?悪化を防ぐ方法

健康診断でよく聞く「脂肪肝」。今まで指摘を受けた方も多いのではないでしょうか。
以前はお酒をよく飲む男性に多いイメージがありましたが、
最近は飲酒しない方も、女性も、太っていない方にも増えています。
脂肪肝は特別症状があるわけではなく、気付かぬうちに進行しているもの。
今回の記事で、ご自身での生活を振り返ってみてくださいね。
肝臓の働き
肝臓の働きは主に4つあります。
①解毒
わたしたちは日々体にとって害となる物質を取り込んでいます。アルコールの、肉などのタンパク質消化の過程で発生するアンモニア、薬やサプリ、農薬など有害物質の分解など、すべて肝臓が行なっています。
②代謝
私たちが食事からとる三大栄養素(タンパク質、脂質、炭水化物)はすべて肝臓でエネルギーに変換されて利用されます。肝臓が健康でなければ、代謝は下がってしまいます。
③栄養を貯める
代謝されてつくられたエネルギーを必要なときのために貯蔵しておくのも肝臓です。そのため食事を摂り過ぎ、栄養が過剰になると負担が大きいのも肝臓です。
④胆汁をつくる
脂肪を消化するのに必要な胆汁は肝臓で作られます。量にして、1日に約1L。そのため、肝臓の機能が低下すると脂肪を分解することもしづらくなってしまいます。
肝臓の数値の見方
健康診断で肝機能の状態を見ることができます。項目は以下の5つ。ご自身の最新の健康診断の結果と照らし合わせてみましょう。特に①〜③が重要です。
①AST(GOT) | 基準値〜30IU/l |
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酵素の一種。本来は肝臓内にあるが、肝臓が破壊されると血中に流れてきて数値が高くなる。その他、心臓や骨格筋にも含まれる。 | |
②ALT(GPT) | 基準値〜30IU/l |
酵素の一種。本来は肝臓内にあるが、肝臓が破壊されると血中に流れてきて数値が高くなる。その他、心臓や骨格筋にも含まれるが、ASTと比べてほとんどが肝臓に存在するため、こちらのほうが高いと肝障害が高いと推測できる。 | |
③γ-GTP | 男性:〜50IU/l 女性:〜30IU/l |
タンパク質を分解する酵素。本来は肝臓や腎臓に多いが、血中での数値が高くなるということは、肝臓や腎臓が破壊されて血中に流れてきていると判断できる。アルコールの影響を受けやすいため、飲酒習慣がある場合は高くなりやすい。 | |
④アルブミン | 3.9g/dl以上 |
肝臓で作られるタンパク質。低値だとタンパク質の摂取・吸収不足が疑われるが、高値だと肝障害の指標になる。 | |
⑤総ビリルビン | 0.2〜1.2mg/dl |
赤血球に含まれる色素。赤血球が古くなると血中に増えて肝臓で処理されるが、肝機能が低下すると処理が追いつかず、血中に残って数値が高くなる。 |
※①〜③が高値になったら④⑤の数値が変わってきます。
脂肪肝を悪化させる食べ物
①果糖ブドウ糖液糖
脂肪肝は、糖質の摂り過ぎにより中性脂肪になって、肝臓に蓄積することで起こります。
そのため糖質の摂り過ぎは脂肪肝を悪化させます。糖質の中でも、肝臓の負担が大きいのが、ジュースなどの飲料や調味料、レトルト食品に含まれている「果糖ブドウ糖液糖」です。果糖は他の糖と違い、肝臓でしか処理できないので、肝臓の負担が大きくなります。
また果物の果糖と違い、液体のため、吸収が非常に早く、より肝臓への負担が大きくなります。ジュースなどの清涼飲料水、調味料、レトルト食品などは頼り過ぎに注意しましょう。
②添加物、加工食品
インスタント麺や菓子パン、レトルト食品などに含まれる合成添加物は、体にとっては異物になるため、肝臓での分解が必要になってきます。これらを日常的に摂っている場合は、自然な食品を食べている場合よりもずっと肝臓に負担がかかります。
③肉の食べ過ぎ、加工肉

肝機能を高めるためにタンパク質は必要です。
だからといって肉の食べ過ぎ、ベーコンやウインナーなどの加工肉は、脂質が多く、肝臓に負担をかけます。肝臓には、脂肪を分解する胆汁をつくる働きがありますが、脂肪肝になり肝機能が低下すると胆汁が不足し、脂肪の消化吸収ができなくなり、不調が出たり、体に溜まりやすくなります。
④アルコール
適度な飲酒は体にいいと昔は言われていましたが、アルコールは少量でも体にとって有毒であることがわかっています。
お酒が強い、酔わないという人も、肝臓が元気というわけではなく、アルコールの分解作業によって疲労が蓄積していきます。
厚生労働省が提示している、「適度な量」とされているのは、「1週間で純アルコール量100g未満」であり、「1日20g程度の純アルコール量、かつ週2日の休肝日」となります。

- ※純アルコール量20g程度のお酒とは
- ・ビール(度数5%)500ml
- ・缶チューハイ(度数7%)350ml
- ・日本酒(度数15%)180ml
- ・焼酎(度数25%)110ml
- ・ワイン(度数14%)180ml
- ・ウイスキー(度数43%)60ml
脂肪肝を防ぐ食べ物、飲み物

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①鉄分
(赤身の肉、レバー、大豆、ほうれん草) -
②脂質の低いタンパク質
(鶏肉、魚、大豆製品) -
③抗酸化成分
(トマト、スプラウト、ブルーベリー、緑茶)
脂肪肝の悪化を防ぐものとして、これらを挙げましたが、これらをたくさん食べればいいというよりも、いかに悪化させる食べ物を減らしていけるか、がとても大事になります。
最後に

肝臓は沈黙の臓器と言われ、症状が出るのはかなり進行してからになります。
あなた自身は、あなたの体という会社を動かしている経営者であり、肝臓などの内臓は、一生懸命働く社員です。
社員にオーバーワークをさせないよう、あなた自身が舵取りをしていってあげてくださいね。