GOOD SLEEP

質のいい睡眠のための食事について

年齢とともに出てくる悩みのひとつに「睡眠」があります。
元気そうに見えても、実は睡眠がうまくとれずに悩んでいる方は多くいます。
厚生労働省による「平成30年度 健康実態調査結果の報告」では男女1411人に調査したところ、睡眠に関する困りごとは、「夜間、睡眠途中に目が覚めて困った」と「寝つき(布団に入ってから眠るまでに要する時間)に時間がかかった」と回答したのが、全体の半分以上(53.5%)を占めておりました。
今回はそんな睡眠にまつわる悩みを、食事の面、生活リズムの面から、少しでも改善できる方法をご紹介します。

【1】食事のとりかた

(1)朝にたんぱく質+糖質をとる

人を睡眠に導くホルモンであるメラトニンは体内でセロトニンから合成されます。セロトニンの材料になるトリプトファンを含むたんぱく質を朝に摂ることで、就寝時間が近づくころにはセロトニン⇒メラトニンに変換されています。そのため、朝はたんぱく質をとりましょう。

和食なら卵、豆腐、魚(ツナ缶などの缶詰でもOK)洋食ならヨーグルト、牛乳などの乳製品ダイエット時ならプロテインをうまく活用してもよいですね。

また、朝の糖質は体内時計をリセットする効果があります。体内時計がリセットされると、「今から1日が始まる」と体が理解するので就寝時間が近づくころには自然と睡眠に入りやすくなるのです。

糖質は主食になる米やパンに多く含まれるので卵や魚をおかずに、米やパンの主食もセットでとるようにしましょう。

(2)腸内環境によいものを食べる

腸内細菌の活動は短鎖脂肪酸を産生することです。短鎖脂肪酸は腸管からのセロトニン分泌を促すことが知られています。前述のとおり、セロトニンは、人を睡眠に導くホルモンのメラトニンを合成するので腸内環境を整えることも、質のいい睡眠につながります。

<腸内環境によいもの、短鎖脂肪酸を生産するもの>

  • 発酵食品…ヨーグルト・納豆・ぬか漬け・キムチ・チーズ 
  • オリゴ糖を含むもの・・・はちみつ・キャベツ・大豆・玉ねぎ・バナナ など
  • 水溶性食物繊維を含むもの・・・海藻類・芋類・麦・オクラ・果物類など
  • 不溶性食物繊維を含むもの・・・穀類・豆類・ゴボウ・モロヘイヤ・きのこ類・切干大根 など

(3)夕食は腹八分目にする

夕食を満腹まで食べると、胃や腸はそれだけ消化に時間や労力がかかり、本来休みたい深夜もずっと起きて消化活動に時間を割くことになります。
頭は眠っていても、内臓が活発に動いていれば、やはり睡眠の質は下がります。
夕食は腹八分目にして、胃や内臓に負担をかけすぎないようにしましょう。
腹八分目のコツとしては、食事に集中し、目でも味わって、よく噛んで食べること。早食いだと、脳が満腹を感じる前に食べきってしまうので、満たされずに食事量が増えてしまいまいます。我慢すると考えるのではなく、目の前の食事をありがたく味わってゆっくり楽しむことで、おかわりや大盛にしなくても、十分に満足感を味わえます。

(4)夕方17時以降はカフェインを控える

睡眠の質がよくないと自覚がある方でも、昼間に何杯もコーヒーを飲んでいる人が多い印象です。
成人では100㎎以上のカフェイン摂取は、睡眠潜時(就床時刻から睡眠開始までの時刻)の延長、睡眠時間の短縮を引き起こすことが報告されています。また、カフェインの感受性には個体差が大きいことも知られており、100㎎未満であっても、人によっては睡眠に大きな影響を与えている可能性があります。

カフェイン100㎎とは、市販品で簡単に摂ることができる量です。
自分は寝れるから問題ないと思わず、少しでも睡眠に悩みのある方は、夕方以降のカフェインは控えてみましょう。

<市販品のカフェイン量>

  • 缶コーヒー カフェイン110~170㎎/1本180ml
  • ペットボトル茶・炭酸飲料 50~100㎎/1本500ml
  • エナジードリンク 80~150㎎/1本250~350ml
  • 眠気防止ドリンク 120~200㎎/1本50ml

【2】生活習慣

(1)20時までに夕食を終え、24時までに就寝

毎日規則正しい生活リズムを作ることで、夜も決まった時間に体は睡眠に入りやすくなります。
24時に就寝するためには、2時間前の22時までには入浴を終え、そして入浴する1時間~1時間半前には夕食を終えるようにしましょう。
入浴すると、皮膚の表面が温まるので、体内でも表面に近いところに血液が流れ込み、内臓に流れる血液の量は少なくなります。
食後の直後に入浴すると、内臓での消化活動が低下してしまうので夕食後は少し時間をおいてから入浴するようにしましょう。
そう考えると、19-20時で夕食⇒1時間ほど時間をあけて21時~22時で入浴。
24時までに就寝が、就寝のための理想的な夜の生活リズムといえるでしょう。

(2)ベッドでは寝る以外のことをしない

スマホやテレビのブルーライトが目を刺激し、覚醒させるのでよくないのは聞いたことがある方も多いはず。
ですが、スマホ以外の読書なども、本来避けたほうがよいと考えます。

ベッドに入った瞬間、日中、立位や座位で過ごして気を張っていた背中や肩の筋肉が緩み、布団に包み込まれる気持ちよさを感じます。
その最初の「気持ちいい」と感じる瞬間に、どれだけ早く眠りにつけるかが、寝つきの良しあしを決定します。
ベッドに入ったまま、寝る以外のことをしていると、その間にリラックスした体はそれに慣れてしまい、いざ寝ようと思ってもなかなか寝付けなくなる可能性があります。
ベッドに入ったら、それ以外のことをせず、リラックスして寝ることに集中しましょう。

最後に

食事も、食事以外も睡眠にはとても大事です。
また、「寝れない」と焦ることでより眠れなくなるものなので、寝れなくても、あまり焦らないことも大事です。
皆さまの睡眠時間がより快適なものになることを祈っています。

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