CONTROL

血糖値が気になったら…糖質のしくみと血糖値をコントロールする食事

こんにちは、MEP南青山 管理栄養士です。今回は、血糖値が高い方にむけたお話です。
また、数値に問題がなくても、食後にとても眠くなる…という方、もしかしたら、
血糖値のコントロールが難しくなっているのかもしれません。

健康診断でしかなかなか計測しない数値、されど身近に潜む、高血糖。
今回は、血糖値が高いとどうなるか、その改善策についてご紹介していきます。

【1】糖質の取りすぎで太る理由

まず、肥満という状態は、普段から消費エネルギーよりも摂取エネルギーが多い状態が継続することで、その余剰エネルギーが脂肪となり、肥満へとつながります。栄養素の中でエネルギーがあるのは、三大栄養素といわれる糖質、脂質、たんぱく質です。ビタミン、ミネラルには、エネルギーはありません。

<三大栄養素の役割>
  • 糖質…エネルギー源(体を動かすガソリン)
  • 脂質…エネルギー源+体をつくる(細胞膜やホルモンの材料になるため、体の一部になる)
  • たんぱく質…体をつくる

たんぱく質は、筋肉、骨、皮膚、血液、ホルモン、歯など、体をつくるので、たんぱく質で太るということはなかなかありません。それよりも、糖質、脂質の取りすぎで太るほうがはるかに簡単です。
糖質をとると、腸から血液中に吸収されるので、血糖値が上昇します。その後、血中から細胞に取り込もうとするのがインスリンというホルモンの働きです。インスリンが糖質を取り込むと、筋肉と肝臓で蓄えられるのですが、それはごく少量で、残りは姿を変えて脂肪として、いつか使うときのために貯蔵されます。これが、糖質が太る理由①です。

また、体脂肪はずっとその状態で蓄えられるかというと、そうではなく、体内で常に分解もされています。
インスリンはその分解を抑制する働きがあるのが、糖質が太る理由②です。

ただし、②については、「太る」というネガティブな働きをするという解釈ではなく、インスリンは本来、体に栄養を届けて、体をつくっていく(同化という)働きがあるため、脂肪分解(異化という)の働きとは拮抗してしまう、という解釈としてください。

【2】高血糖が続くとどうなる?

特定健診における血糖値の基準は

  • 空腹時血糖値…空腹時血糖100mg/dl以上
  • HbA1c…5.6%以上

厚生労働省健康局「平成28年国民健康・栄養調査」のデータによると、2016年に「糖尿病が強く疑われる者」約1000万人、糖尿病の可能性を否定できない者」約1000万人、合計で2000万人となり、これは1997年の1370万人の約1.5倍になっています。
今や、だれもが糖尿病になる可能性があります。

参考: 平成30年版 厚生労働白書 -障害や病気などと向き合い、全ての人が活躍できる社会に- (https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/18/backdata/01-01-02-08.html

食事をとって、血糖値が上昇すると、通常ならインスリンによって、血中から細胞に移動するため、血糖値は正常範囲にまで下がります。

しかし、食べ過ぎや糖質中心の食事をしていると、インスリンが働いても働いても、どんどん血液中に糖質が入ってくることになり、それにより、インスリンが枯渇してしまったり、分泌されても、効き目が悪くなってしまいます。これをインスリン抵抗性と呼びます。

インスリン抵抗性の状態になってしまうと、高血糖の状態が慢性化することになり、血中には糖が異常に多いのに、細胞には糖を届けられず、体は栄養不足を感じて、さらに食事をとろうとしてしまいます。こうなると、高血糖の悪循環に陥ってしまい、やがては糖尿病へとつながります。

糖質を極端に減らしたり、摂らないという糖質制限ではなく、適度な量をとり、インスリンが出すぎることも、出なさすぎることもせず、ほどよく、毎日食事をすることが、コントロールできる一番の近道となります。

【3】血糖値の上がらない食べ物・食べ方

(1)主食の量は握りこぶし1個分

主食としては、米飯やパンなどは、1食あたり、握りこぶし1個分を目安にしましょう。
丼物や、パスタなどの単品を食事としている場合には、握りこぶし以上の量になりがちで糖質の取りすぎになりやすいので、注意が必要です。なるべく定食スタイルにし、米飯のお代わりなどはしないように日々調整しましょう。

(2)主食は白くない食品、未精製のものをとる

白米は、玄米を精製し、まわりの米ぬかやロウなどの食物繊維やビタミンをそぎ落とし、柔らかく食べやすい状態にしたものです。その分、残された栄養はほとんどが糖質になります。そのため、血糖値が急激に上がりやすい食品といえます。
玄米や、少し精製された分付米を食べることで、糖質と同時に食物繊維もしっかりとれるので糖質の吸収がゆるやかになります。

(3)市販のノンオイル、低脂質のソースやドレッシングに注意

ノンオイルや低脂質の商品は、脂質が少なくてもコクがあり、おいしいものが多いですが、それは、脂質が少ない分、糖分をたくさん使っているケースが多いです。また、かけるという行為はつけすぎになりやすいため、余分な糖質をとっている可能性もあります。市販のソースやドレッシングはほどほどに、オリーブオイルと塩で和えるなど市販品に頼りすぎない工夫をしましょう。

(4)単品ではなく、複数の品目をとる

おにぎりだけ、ラーメンだけ、パンだけ、など忙しいときには炭水化物単品になりがちです。
そうなるとやはり血糖値が上がってしまうので、おかずを一緒に食べることで、糖質以外の栄養素を同時にとり、血糖値の急上昇を防ぎましょう。ベジファーストといわれる、野菜から先に食べて、ごはんを最後にすることもとても効果的です。

まとめ

糖質は体を動かすためのエネルギーになる大事な栄養素です。運動不足などでエネルギー消費が少ないと、余った糖質は脂肪として体内に蓄えられます。
一方で、あまりに糖質を避けてしまうと、糖を代謝する働きが低下してしまい、糖質を摂取したときに、余計コントロールしにくくなり太りやすくなってしまいます。糖質が悪いと排除するのではなく、握りこぶし1個分を目安に、適正量をとること、併せて適度に体を動かすことを意識していきましょう。

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