高血圧を改善する食事・運動・生活

高血圧を改善する食事・運動・生活

前回、高血圧についてお話しました。今回は、高血圧を改善する食事療法、運動療法、生活療法について具体的にご紹介していきます。

食事療法

① 毎食「ごはん(主食)+主菜+味噌汁」の3点セットは摂る

血圧を抑えると言っても、無理に食事を減らしすぎたりするのはあとが続きません。またごはん抜きや、単品だけ、というのは満足度が上がらず、間食につながりやすく、血圧を上げる行動が反動で出やすいです。この3点セットを基本とし、腹八分目の食事をすることが、血圧改善の第一歩となります。また副菜を毎回用意するのは大変なので、味噌汁に野菜やきのこをたくさん入れて、栄養バランスを整えましょう。
減塩のために味噌汁を控えるほうがいいと思うかもしれませんが、味噌の材料となる大豆には、血圧を下げる効果があります。また味噌汁にすることで、ビタミンミネラルがとれる野菜が簡単に取れ、その点も血圧を下げる役割があるので、味噌汁は制限せずに摂ることをおすすめします。

② 少しずつ薄味に慣れる

現在の日本人は1日に9〜11gの塩分を摂取していると言われていますが、高血圧の方の目標摂取量は1日6g未満です。いきなり3〜5gも減らすのは食事もおいしく感じにくく、継続できません。
まずは食事の際にドレッシングや醤油など何気なく追加していたものを見直し、お酢やコショウなどに置き換えてみましょう。

③ 外食はできるだけ控える

外食は味付けが濃いため、塩分もカロリーも高くなります。また野菜も不足しがちて、食事の満足度が上がらないため、炭水化物と脂質の量ばかりが増えがちです。外で働いている方などはお弁当を持参するのがおすすめです。

④ ①〜③をとにかく続ける

減塩食は難しく考えると続きません。完璧を目指さず、①〜③のうちできることから少しずつ取り組んで、とにかく継続することが大切です。
最近では塩分計算された冷凍弁当もネット購入が可能です。そういったものもうまく取り入れながら、今日からできることを少しずつ取り組みましょう。

運動療法

運動習慣は様々な観点から、血圧を下げる効果があることがわかっています。

運動による降圧効果

  • 運動をすると全身に血液を送り出す量が増えるため、一時的に血圧は上がりますが、次第に抹消血管が広がって血流がよくなるため、血圧が下がります。
  • 血流が良くなることで、体内のナトリウムが尿に排出される量が増えることでも血圧が下がります。
  • 運動することで、血圧を上げる働きのある物質の分泌が減り、血圧を下げる働きのある物質の分泌が増えます。
  • 運動が精神的なストレスの解消にもなり、血圧を下げてくれる。

効果的な運動

運動でおすすめなのは
❌瞬間的に力を加える「無酸素運動」…力む行為は血圧を大きく上げてしまい、血圧が高い人には不向き。また、勝ち負けをきそうスポーツなど自分のペースでできない運動は血圧を上げやすい
⭕️ウォーキングなど軽めの「有酸素運動」…勝ち負けがなく、自分のペースで行えるもの。ウォーキング、水中ウォーキングなど。

脈がやや速くなり、少し汗ばむ程度の運動強度がいちばんよいです。
時間は毎日20〜30分程度行えると理想的ですが、運動も継続することに意味があります。
20分歩く時間がないから今日はやらない、ではなく、3分でも歩ける時間があれば歩くようにして、毎日とにかく継続することで、長期的に見て血圧の改善に効果を発揮します。
運動時間を設けなくても、通勤時はエレベーターやエスカレーターを使わず、なるべく階段利用にするなど、細切れでもいいので体を動かす時間を増やすことが大事になります。

生活習慣療法

朝起きてから夜寝るまで、わたしたちの生活パターンや行動には、いくつか血圧を上げやすい行動があります。血圧が正常な人には問題のないことでも、血圧の高い方には負担の大きい行動となる場合があり、脳卒中や心筋梗塞につながるケースもあります。
血圧の高い方は次の点に注意しましょう。

① 朝の起床時…ギリギリまで寝て、急に飛び起きる。

横になった状態から起き上がる時や、座位から立ち上がる時などは血圧が上がるタイミングです。ガバっと起きるのではなく、少しずつ体を起こすようにしましょう。

② トイレで力む

排便時に力むと血圧が上がります。力んで排便するのではなく、力む必要がないよう便秘を解消するようにしましょう。

③ 仕事、人間関係での過緊張やイライラ

仕事上の人間関係、会議や取引先との交渉など、緊張感が高くなると血圧が上がります。意図的に気分転換をする時間を設け、必ず深呼吸するようにしましょう。イライラするからと喫煙すると、血圧は上がってしまうので、禁煙も考えましょう。

④ 入浴時の温度差

今の寒い時期は特に、脱衣所と浴室の温度差が大きい時期。室温や気温が急激に変わる場所では血圧が一気に上昇しやすい場となり危険です。脱衣所もヒーターで温めておく、浴室も暖房で温めておくなどし、服を脱いだ時や浴槽に浸かった時など前後で急激な温度差がないようにしましょう。

⑤ 夏の脱水症状

汗をかいたら水分補給し、脱水にならないように気をつけましょう。脱水になると血流が悪くなり、血圧が上がりやすいです。

最後に

これらのように、みなさんがやりがちな行動は、実は血圧を上げている可能性が高いです。血圧の高い方は、これらが体に負担になることを理解し、少しでも和らげる行動を意識してくださいね。
また、今回紹介したことは行いつつも、服薬による治療が必要な方は、医師の指示に従い、しっかりと服薬を並行しましょう。血圧が高い方は、そうでない方よりも脳卒中や心筋梗塞を起こす可能性が高いため、万が一を防ぐためにも薬での治療も不可欠です。
一方で、服薬だけに頼って、普段の生活や食事が改善されなければ根本解決にはなりません。どちらも並行して行うようにしてくださいね。

次回は血圧を下げる具体的な食事と栄養について解説します。